3Dプリンターとは?3Dプリンターでできることと、未来を考えてみました。

更新日:2020年04月08日

3Dプリンターとは?

3Dプリンターとは、3DCADの設計データ(STLデータ)や3DCGなどの3次元ソフトウェアで作成された3次元データを元に、立体CTスキャナーのスライスのようにひとつの層を重ね合わせて立体化し、立体モデルを製作します。これまで金型を作らなければできなかった立体物を、製造のあらゆる現場でいきなり作れてしまうというところが3Dプリンターの特徴です。更に、最終製品まで作れてしまう場合もあります。

【意匠確認】
デザインイメージを共有するためには、3Dプリンターを利用することがとても有効です。

【試作】
試作品の段階では、3DCADの設計データがあれば金型を作らずに試作品を作ることができます。

【型】
量産するための金型を作る際、金型の注意すべき部分が理解できます。

【治工具】
多品種少量生産に伴い、様々な治具が必要になります。それを3Dプリンターで作ることができます。

【最終製品】
一点モノの製品の場合、その製品自体を3Dプリンターで製作すれば、金型を作らずに製品が完成します。

【建設・建築模型】
建築模型など、立体でプレゼンテーション向けのものを製作するのにも向いています。

3Dプリンターは1980年代に実用化されましたが、とても高価で複雑な操作を必要としました。そのため業務用のものとして使われていましたが、基本特許保護期間が終了した影響やオープンソースの開発などにより、2010年代に入り個人でも使える金額になり、爆発的に売れるようになりました。2010年頃は「3D Systems」「Stratasys」など上位3社で業界シェアの80%以上を占め、特に「Stratasys」社の「Dimension/uPrintシリーズ」の業界シェアは半分と高く、事実上の業界標準となりました。国際標準化委員会ASTMとISOは、3Dプリンタ用ファイルフォーマットを「AMF」と定めています。

■3Dプリンター方式の種類
【材料押出堆積法/FDM】
高い耐久性や耐熱性を得やすいため、試作品や治具、簡易型の造形におすすめです。
【マテリアルジェッティング】
高精細でなめらかな表面のモデルを造形しやすく、精度が求められるパーツの出力に力を発揮します。
【バインダージェッティング】
造形速度に優れており、着色が容易なため、デザインの確認やフィギュアの作成に向いています。
【粉末焼結積層造形(SLS)/(SLM)】
耐久性のある造形物を製作でき、金属素材も使用可能なため、最終製品や鋳型の製造におすすめです。
【光造形(レーザー方式)】
もっとも古くからある方式で、高精細かつ表面の滑らかな造形物を作成可能です。
【光造形(DLP方式)】
DLPシステムにて一括露光することで、高速造形を実現しながらもSLA同等の高精度な造形を行い、細かいパーツの造形にも適しています。
【HP Multi Jet Fusion テクノロジー】
HP独自の3D造形技術で、最終製品造形に求められる高速かつ堅牢で高精細な仕上がりを実現します。

3Dプリンターを使うことで、これまで大量生産前の試作段階まで、たとえば個人でも行えるようになります。従来は設備が必要だったものが、個人がアイデアさえあればすぐに「モノ」作りができるため、製造のイノベーションは加速すると考えられます。従来は製品の型を作るために金型などを作れる業者が必要でしたが、現代では多品種少量生産が求められ、そのような時代には3Dプリンターで作ったモノ自体を最終製品として販売することも可能です。3Dプリンターは試作品の製作に最も多く使われていますが、航空宇宙分野のように製品が複雑な場合、その製品を特注で製造するために3Dプリンターで作ることが考えられます。また、機器が故障して修理がすぐにできない場合や、その機械自体が古くなり在庫部品がない場合にも、データだけを保有しておけば、3Dプリンターで部品を出力して修理することができます。医療分野でも活躍が期待され、手術前のシミュレーションや、最も注目されている「臓器プリンティング」といった、心臓などの臓器を「立体臓器製造機」を使って再生医療のテクノロジーとともに製造する試みがあります。その他、住宅の建設でも3Dプリンターの利用が考案されており、これにより住宅建設のコストが大幅に下がることが期待されます。

3Dプリンターが使えるサービス。

「モノ」作りをする上で、3Dプリンターは、様々なイノベーションを起こすと言われています。大型のものはまだ高価ですが、利用できるサービスも増えてきています。3Dプリンターが使えるサービスと、3Dプリンターで使える素材をまとめてみました。

<3Dプリンターを利用できるサービス>
■DMM.make(DMM.com)
参考URL:https://make.dmm.com/
■キンコーズ・ジャパン
参考URL:https://www.kinkos.co.jp/service/3d-printing/
■デジモデ
参考URL:http://contents.digimode.jp/
■3Dayプリンター
参考URL:https://3day-printer.com/

<3Dプリント素材>
■石膏
メジャーな素材で、フルカラーの3Dプリントが可能です。パウダー素材なので、気軽に利用できます。フィギュアやミニチュアを作るのに向いています。
■フルカラープラスチック
「フルカラーUV硬化インクジェット」で使えます。微細なデザインを表現するのに向いています。利用方法は、フィギュア、ミニチュアなどです。
■ガラス
ロストワックス法といわれる3Dプリントのモデルを鋳型に、ガラスを鋳造します。雑貨などを作る際に向いています。
■アクリル
半透明で滑らかなアクリル樹脂素材なので、既製品のような仕上がりを楽しむことができます。フィギュアやデザインアイテムなどを作る際に向いています。
■ナイロン
耐熱性と靭性に優れている素材なので、3Dプリントに向いている素材です。ガジェットやインテリア製品、デザインアイテムなど、様々なものに応用できます。
■アルミ
一般的なアルミ鋳造に使われるものと近いものが作れます。パーツなどを作る際に重宝される素材です。
■チタン
強度や軽さといった特性を兼ね備えた素材で、金属アレルギーにもなりづらい素材です。金属パーツやデザインアイテムを作る際に利用することをお勧めします。
■真鍮
3Dプリントしたものを鋳型として使い、真鍮を鋳造します。アクセサリーとして実際に利用できるので、そのような素材を作る際に重宝されます。質感はとても滑らかな素材です。
■シルバー
3Dプリントしたモデルを鋳型として使い、シルバーを鋳造します。素材はとても滑らかで、実際にアクセサリーとして利用できるので、そのような使い方をお勧めします。
■ゴールド
3Dプリントしたモデルを鋳型として使い、ゴールドを鋳造します。素材は滑らかで、実際にアクセサリーとして利用できるので、そのような使い方をお勧めします。
■プラチナ
3Dプリントしたモデルを鋳型として使い、プラチナを鋳造します。素材は滑らかで、実際にアクセサリーとして利用できるので、そのような使い方をお勧めします。
■マルエージング鋼
切削強度、靱性に優れ、高い強度を持つ特殊鋼です。強度の必要な細かいパーツを作るのが得意です。
■インコネル
耐食性、耐酸化性に優れたニッケル合金です。パーツやデザインアイテムを作る際に向いている素材です。
■ジュラルミン
ジュラルミンとも呼ばれるアルミ合金で、トップクラスの強度を持つ材料です。強度の必要な細かいパーツなどに利用されると良いと思います。
■ステンレス
ステンレスは耐熱鋼として広く一般に普及している鋼種です。様々な部品に利用できるほか、アクセサリーとしても利用可能です。
■ベリリウム銅
ベリリウム銅は、火花が出ないという特性や響きが良いことで有名な金属です。部品やアクセサリーとして利用することをお勧めします。
■スチール
ざらざらとした表面の金属素材で、メッキ処理を行うことができます。ガジェットやアクセサリー金属部品として利用可能です。
■PPS
耐熱性、耐薬品性に優れており、機械的強度を持ち合わせた高機能なプラスチックです。機械部品などを製造する際に利用できます。
■光造形樹脂
光造形方式を用いた樹脂材料です。機能性材料、カラーなど、様々な選択肢がある材料となります。パーツやフィギュアの原型を作る際にご利用することをお勧めします。
■カーボン複合素材
「短繊維カーボン複合ナイロン造形物」にカーボンを織り込んだ複合素材です。軽量で、とても強靭な素材です。部品や生産治具を製造するのに向いています。
■アルマイド
耐熱性、剛性に優れた樹脂素材です。ガジェットやアクセサリーなどにご利用されることをお勧めします。
■その他
3Dプリンターの進化は、様々なところで見られます。ニット生地を3Dプリンターで生産したり、生地そのものを出力して縫い目のない服を作るような3Dプリンターも出てきています。住宅そのものを3Dプリンターで建設してしまおうという試みも行われています。

参考URL:https://make.dmm.com/print/material/