IT×アグリカルチャー。AgriTech(アグリテック)の植物工場、農業ロボットといった未来の農業のカタチを考えます。

更新日:2020年04月04日

アグリテックの未来を考えます。

農業のIT革命といわれる「アグリテック」の未来について、考えてみたいと思います。アグリテックとは、農業(アグリカルチャー)と技術(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。農業とIT技術を融合することで、効率的な農作物の生産を目指します。例えば、AIやロボットを始め、先端テクノロジーを農作物生産に活用します。センサー、ドローン、クラウド、ビッグデータ、ブロックチェーンといった最新の情報テクノロジーを活用して、モバイルデバイスひとつで「IoT」化された農業機械と結びつけ、動作させるといったことも行います。農業の課題を解決していくのが、アグリテックです。高齢化などにより就業人口が減っている農業において、就労者の代わりにAIやドローンなどが、熟練農家でなければできなかったノウハウを分析・「見える化」して農業を効率化します。

<アグリテックのモデル>
【インプット】
農家の方がこれまで「感」で行っていた部分を「農業用ドローン」、「衛星リモートセンシング」、「フィールドサーバ」、「収量コンバイン」、「収穫ロボット」といったものを活用して、「見える化」し、情報をインプットします。
【分析】
農家の方が経験則に基づいて行ってきた分析作業を「自動制御」、「AI」、「ビッグデータ解析」と熟練農業者の判断で行います。
【作業】
実際に農作業をするところですが、これを「自動運転農機」、「農業ロボット」、「植物工場」、「農業用ドローン」、「自動給水」といった技術を使って、人がいなくても行います。

アグリテックは、農業従事者の減少による労働力不足を補うとともに、働き方自体を変えようとしています。農業用ドローンのほか、自動運転農機や農業ロボットの本格的な販売も始まります。物理的な部分以外にも、経験に基づいて行われてきた農業のノウハウを顕在化していくことが、様々な農業の効率化を生むと考えられます。アグリテックは人をサポートするテクノロジーがふんだんに取り入れられています。そのため、個人経営の小さな農家であっても、全自動で生産が行えるようになるかもしれません。例えば、小規模の植物工場のような環境を作り出し、その内部を全自動化して自動的に作物ができるようにする、といった形です。アクアポニックスといった農法を用いて、漁業と農業を融合させた環境を、外部と遮断された植物工場のような場所で作り、その中の管理をすべてテクノロジーで行えば、人があまり関与せずに自動的に生産できる仕組みとなります。このように自動化が進めば、農業未経験者であっても、自分の食べるものを自家生産できるようになるかもしれません。そうなれば、これまで重労働で敬遠されてきた農業に対するイメージも変わり、農業にチャレンジしたいと思う方のハードルも下がると考えられます。食糧自給率といった問題の解決にもつながるかもしれません。アグリテックのポイントとして、農業の再現性が増すということが挙げられます。農業はテクノロジーの導入が最も遅れていた業界かと思われます。そこにテクノロジーを導入することで、これまでの勘や経験に頼っていた部分を「見える化」し、誰でも農業生産を計画通りに進めることができるようになります。それによって、精密な農業が実現し、供給が安定、農作物の収穫高の変動が少なくなります。大きな視点で見ると、農作物の先物市場などで投機的に価格が吊り上げられることもありますが、収穫高が安定すれば、貧しい国の人々が食べ物にありつけなくなるといった事態も減少するのではないかと考えられます。アグリテックの進歩と共に、農業未経験者がチャレンジ可能な農業システムが進化すれば、誰でも「自産自消」が可能な日が来るのではないかと考えます。

アグリテックを提供するメーカーをご紹介します。

人手不足や、個人の経験に頼っていた農業の問題を解決する「アグリテック(Agtech)」関連企業をご紹介します。テクノロジーを導入し、農業を自動化することで、収穫量を増やし、効果的な農業を行うことができます。

<農業クラウドサービス>
■食・農クラウド「Akisai(秋彩)」
食・農クラウド「Akisai(秋彩)」は、施設栽培や露地栽培から、畜産までをカバーする農業のクラウドサービスです。生産から販売までをサポートすることができます。
参考URL:http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/agri/

■KSAS(クボタスマートアグリシステム)
農業機械を販売しているクボタでは、それらの機械と情報通信技術を融合して、農業の課題を解決していくためのクラウドサービスを行っています。
参考URL:https://ksas.kubota.co.jp/

■セラク「みどりクラウド」
みどりクラウドは、圃場の気象状況や気温、湿度、土壌の状態など様々な情報を集約して、それをスマートフォンでモニタリングできるようにします。それらの情報をもとに、利用するほど環境データがブラッシュアップされていくという設定になっています。また、コンセントに専用端末を接続するだけなので、「ICT」に強くない農家の方でも簡単に利用できます。
参考URL:https://info.midori-cloud.net/

■農業技術学習支援システム(NEC)
各農家が持っている技術を「ICT」によって可視化し、それを後継者や従業員に学習させていくシステムです。農業技術の伝承を行えるシステムとなっており、タブレット端末で学習を行うことができます。
参考URL:https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/nougaku/

■ルートレック・ネットワークス
「ゼロアグリ」は、土壌の中の状況を判断して、養液を適切に散布し、土耕を行うシステムとなっています。
参考URL:http://www.routrek.co.jp/

■ネポン
「アグリネット」は、ハウスをモニタリングして、温度や腐食、土壌の水分などを判断することにより、ハウスに必要な温度を設定するため、暖房機器の燃焼時間などを調整するシステムになっています。
参考URL:https://www.nepon.co.jp/agrinet/

■PSソリューションズ
「e-kakashi」は、ハウス栽培状況などを「365日24時間」、様々な農業IoT情報を取得し、それをクラウドで処理してデータを「見える化」し、どのように育成するのがよいかをサポートしてくれます。スマートフォンで確認ができ、様々な機器の調整なども行います。
参考URL:http://www.e-kakashi.com/

<その他>
■アグリメディア
「都市と農業をつなぐ」を事業コンセプトに、生産農家と消費者がイベントを通して交流しています。その他にも、農家や酪農などの求人情報を掲載する求人サイトも運営しています。
参考URL:https://agrimedia.jp/

■ヤンマー
ロボットトラクターなど、農作業を自動化する商品を開発しています。日本の農家が抱える経営者の高齢化と、若年層の就職の低下を解決します。
参考URL:https://www.yanmar.com/jp/technology/robotics.html

■SenSprout
農業センサーシステムは、農家が農業を行う中で、定量的に指標を測定することにより、これまで暗黙のノウハウであったものを「見える化」するシステムです。水分量や温度などが適正な設定でない場合には、アラートが発生し対応する仕組みとなっています。また、農家同士でデータの共有を行うこともできる点が面白い仕組みです。
参考URL:http://sensprout.com/ja/

■スカイマティクス
ドローン技術を使い、上空から作物の状態を測定する葉色解析サービス「いろは」を展開しています。
参考URL:http://skymatix.co.jp/

■ヤマハ発動機
「産業用無人ヘリコプター」を使って、効果的な農薬散布ができる「IoT」商品を展開しています。
参考URL:https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/

■植物工場
MIRAI株式会社は、環境に左右されない農業を作ることを目的に、さまざまな植物工場の試みを行っています。人工光や空調を正しく制御しながら、植物が最大限効率的に育つ仕組みを作ります。植物工場内では害虫の被害がないため、農薬の必要もなくなり、台風や大雪などの被害からも守ることができるというメリットがあります。
参考URL:http://miraigroup.jp/