自動運転の現在と未来を予想します。

更新日:2020年04月10日

自動運転とは?未来はどんな風な車が走る?

様々な企業が自動運転技術の確立に躍起になっています。近い将来、自動車はどのように進化するのでしょうか?自動運転の未来を考えてみたいと思います。始めに、自動運転というものがどういう仕組み化を説明します。自動運転は、「レーダー(LIDAR)」「GPS」「カメラ」などで周囲の環境を認識して、行き先を告げるだけでその目的地に運んでくれるものを言います。そのために、「センサー」に代表されるようなテクノロジーを使って、ドライバーが運転することなく目的地に到着する車になります。既に公道でない場所では、自動運転で運行されている車両がたくさんあります。鉱山などで使われている車両などは、全て自動運転といものも標準になってきています。農業で使うトラクターも自動運転が可能なものが開発されています。自動運転には定義があり、レベルが決まっています。そのレベルを紹介します。このレベルの中で現在の車は基本的に「レベル3」までとなっています。

■レベル0
「加速」「制御」「操舵」といった全てのメイン制御系統をドライバーが行う、いちばんオーソドックスなものを「レベル0」としています。
■レベル1(運転支援)
「加速」「制御」「操舵」の内、何かひとつのシステムが支援できる状態です。自動ブレーキなどの安全運転を支援する機能も、このレベルにあたります。
■レベル2(部分自動運転)
システムが運転状況を考えながら「加速」「制御」「操舵」の内、複数のものを同時に行う状態にあたります。クルーズコントロールなどはこれにあたります。しかし、ドライバーは常に運転状況を確認する必要があるため、現在のシステムではハンドルからある程度手を離していると、自動でシステムが解除されるようになっています。レベル2のシステムは、一定の条件下でのみ働く、システムとなっています。
■レベル3(条件付自動運転)
限定的な運転状況や交通状況でのみ、システムが「加速」「制御」「操舵」を自動的に対応するレベルです。しかし、システムが対応できないと判断した状況下においては、ドライバーに運転が委ねられます。そのため、通常の状況ではドライバーは運転に縛られなくてよいですが、緊急時にはドライバーが運転を行わなければいけません。緊急時は突然来るので、その際にスムーズな運転の交換が行えるのかという問題が、発生すると考えられています。2018年時点の自動運転は、このレベルまでとなっています。
■レベル4(高度自動運転)
例えば、高速道路のみといった雷雨や大雪、台風のような大雨の厳しい環境条件以外で、「加速」「制御」「操舵」を全てシステムが行うレベルになります。厳しい環境が続かない状況であれば、全てドライバーが対応しなくても走行できるようになります。ドライバーは、基本的にほとんどの操作をしなくて良いのですが、システムが判断できない得意な状況では、人間が運転する必要があります。鉱山などで運用されているものや、軍事的な車両はこのレベルが達成されていますが、公道レベルでは達成されていません。2020年までには、この「レベル4」の自動運転システムを実用化することを、国策として考えています。
■レベル5(完全自動運転)
人間が行っている全ての状況判断をシステムが行います。どんな状況においても、例えば極限の環境においても、全てをシステムが行うという状況です。ドライバーはただ乗っていれば良い状況で、全てのものを、自動車が行ってくれます。日本では「レベル5」の自動運転を2025年に目指しています。

自動運転の課題は、事故を起こした際の責任の所在など、様々な問題がありますが、人間が判断するよりもシステムが判断する場合、次のようなメリットがあります。

■交通事故の減少が考えられます。人間の判断には限界がありますが、自動運転の車は赤外線や超音波などの各種センターによって、事故を事前に防ぐことができます。パッシブアクティブといったレーザーを使うことによって、360度の視界を達成し、事前に事故を防ぐことができます。これは人間にはできないことです。
■人間が行う、車間距離の詰めすぎや乱暴な運転、脇見運転といったような、人間の曖昧な感覚による事故を未然に回避することができます。
■高速道路などで余計なブレーキを踏むことによって、渋滞が起こることは知られています。そのような人的な渋滞を、車間距離を適切に効率的に取ることによって、通行の流れを最適化することができます。
■現状でも、ナビゲーションシステムによる目的地までの案内は行われていますが、完全自動運転をすれば、それすらも自動運転のシステムに任せることができます。
■現在の自動車による適切な行動範囲は、500キロ以内と考えられています。自動運転が行われれば、それ以上の距離でも、ドライバーの負担なく利用できることになります。500キロ超えると現状では航空機などによる移動になっていますが、その範囲も車によって行われる可能性があります。
■高速道路などにおいて、全ての車が自動運転ということになれば、安全性が確保できるために最高速度をさらに上げることができます。自動車の性能としては、現行の法律よりも、更に高速な運転は可能なので、それによってさらに効率的な人の移動が可能になると考えられます。
■自動車に乗る人に制限が必要なくなります。例えば、お酒を飲んでいる人であっても、子供であっても自動的に車が運転してくれるので、誰でも自動車を利用できるようになります。
■通常、車庫証明といった自動車を止めて置く場所を考えなければいけません。しかし、自動運転であれば、遠く離れた場所に駐車場があったとしても、自動的に乗車したい場所に車が戻ってくるので、止めることができます。特に大都市であれば、駐車場の不足といった問題の緩和につながると考えられます。
■カーシェアリングや、これまでタクシーが行ってきた送迎が、目的地へ乗客を運んだ帰りに、インターネットを使って乗客をマッチングすることによって、無駄なく乗客を捕まえて、効率的に帰路に着くことができるようになります。自動車自体の削減であったり、燃料の無駄をなくしたりといったエコなモビリティ環境になることが考えられます。
■事故の減少により、保険の部分で、自動車保険の保障金額(掛け金)の削減であったり、警察官の任務の削減であったりということが考えられます。物理的には、自動運転では電子的な情報が必要なだけなので、道路標識の削減といったことも可能になると考えられます。
■自動車の車両自体が、自走できるようになるため、車両自体の認識能力の向上によって、盗難といった犯罪がやりづらくなることが考えられます。
■ステアリングなど運転をするための仕組み自体が必要なくなるので、車内が広くなったり、安定した運転をシステムを行ってくれるので、乗り心地が向上したりといったメリットがあります
■過疎地では現在バスによって公共交通が保たれていますが、本数の削減など不便な状況です。しかし、自動運転が行われるようになれば、人的なコストの関係で、本数が削減されていた交通機関が、そのような部分でのコストを考えなくて良くなるため、便利な交通環境を作り出すことができると考えられます。

道路網が整備されたところでは、自動運転が行われることによって、移動の制限が減ることが考えられます。電気自動車といった維持費の低い車両を使えば、とてもコストの低い乗り物ができ、個人が車を所有しなくても、タクシーを呼ぶように、いつでもどこでも車に乗ることができるようになると考えられます。タクシーもビックデータなど利用、解析しながら運行することで、効率的にタクシーを流しておくことができます。カーシェアリング業界でも、運転ができなくても、車だけをシェアリングできればよいので、更に低コストな移動手段を手に入れられるのではないかと考えます。高齢化と過疎といった運転に関わる問題も、解決の糸口になると考えられます。解決しなければいけない問題も山積ですが、このように自動運転のテクノロジーが進化することによって、多方面にメリットを享受できると考えられます。

自動運転参入企業はどのような企業ががあるのでしょうか?

自動運転に参入している企業には、後述するような属性があります。ひとつ目は「完成車メーカー」です。これまで自動車を作っていた日米欧の企業が開発を行っています。ふたつ目は「システム系企業」です。「IT企業」といわれるようなところに代表される企業です。スタートアップも参加しています」。そして「センサー系企業」も参加をしています。レーダーに強みがある企業です。レーダーのノウハウを使って自動運転の市場を狙っています。「インフラ系企業」も参加をしています。5G通信の通信網を持つ企業が参加をしています。テクノロジー系ではありませんが、「ファンド系企業」も参加をしています。自動運転の将来性を見越して、ファンド系の企業が投資を加速させています。「サービス系企業」も参加をしてます。「Uber」のような、自動車に関連するサービス系の企業が参加をしています。最後に「大学発ベンチャー」参加をしています。インパクトはまだ小さいかもしれませんが、産学共同で参加をしています。次に国別の状況を見ていてみましょう。

【日本】
■トヨタ自動車
トヨタ自動車は、これまで人が介在しない運転に消極的でした。あくまで人の運転をサポートするために、テクノロジーを利用するということを目指してしてきました。しかし、2020年までにかなり高度な自動運転を達成しようと方向転換もしました。自動車メーカー以外とも提携しているので、意欲的な開発を現在おこなっています。一貫しているのは、「安全」ということです。様々な国や地域で、安全を担保できるという前提があって自動運転を行うという軸は、ぶれていないように感じます
■日産自動車
公道を走るための法整備ができた国から、自動運転を投入していきたいと考えています。日本の他のメーカーに先んじて、2020年には一般の公道での自動運転を目指して開発を進めています。資本関係にあるルノーと技術開発を行っています。
■本田技研工業
2020年までには、高速道路において、ドライバーの運転が必要のない自動運転を目指しています。
■SUBARU
SUBARUでは、「EyeSight 」運転アシスト技術をいち早く発表しました。この「EyeSight 」を進化させて、2020年には自動運転の実用化を目指しています。
■いすゞ自動車・日野自動車
「いすゞ自動車・日野自動車」の連合は、本業であるバス分野において、ハイブリッド連結バスをはじめとする車両に、自動運転の技術を共同開発していくことで合意をしています。

【アメリカ】
■テスラ・モーターズ
EVによる自動運転の最先端をいっている企業です。最先端であるがゆえに、自動運転の最中での死亡事故なども起こしています。しかし、自動運転の性能では現実感のあるレベルまで進化していると考えられます。
■Google/ウェイモ
2010年から公道での実証実験を行っています。100万キロ以上の公道の走行を行っていて、2018年からはアリゾナ州で自動運転タクシーの商業運転を始めています。
■インテル
日本の次世代自動車開発用プラットフォーム、「RoboCar(R)」を開発している自動運転技術開発ベンチャー、「ZMP」に出資しています。
■ゼネラルモーターズ
ステアリングアシスト機能の開発を行っています。自動運転EVの量産にも着手をしています。
■フォード・モーター
大学や保険会社と、産学共同で2015年以降に自動運転車を商用化するという発表をしています。自動運転パトカーを開発していて、取り締まりを行うと言う特許の申請も保有しています。
■Uber
2016年には自動運転を行うトラックを利用して、ビール配送を行いました。自動走行トラックの高速道路での運用も考えられていました。しかし、2018年にドライバーが乗車はしてはいましたが、自動運転を行っていた実験車が人身事故を起こし、衝突した相手を死亡させてるという事故を起こしてしまい、自動運転の試験を中止すると発表しました。

【欧州】
■フォルクスワーゲン
80マイル以下で自動運転ができる自動運転車を現在開発中です。それに伴う安全運転アシスト機能を様々なモデルに搭載しています。
■アウディ
ネバダ州において、自動運転の公道試験を行う許可を取得しました。2017年には「A8」において、一般の市販車では世界初の「レベル3(条件付自動運転)」相当の自動運転機能「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を備えた車両を販売しています。
■ダイムラー
2020年までの自動運転車の市場投入を発表しています。2025年までには、トラックにおいて自動運転の実現を目指しています。自動化レベルは「3」程度を想定していて、ドライバーの乗車は必要ですが、ほぼ自動運転に近いような形を目指しています。
■BMW
高速道路における自動運転を目指しています。様々なテスト走行を行っています。自動運転の実現に向けて、マイクロソフトとの提携も強化しています。
■ボルボ
ソフトウェア開発会社「Zenuity」との連携で、自動運転技術の確立を目指しています。2021年までに「レベル4」の自動運転車を一般市場に投入する予定です。

【アジア】
■サムスン電子
自動運転の商用化を2020年までに行うことを目指して、開発をしています。
■百度
中国で、「BYD」「ダイムラー」「フォード」「マイクロソフト」「NVIDIA」「ホンダ」「インテル」が参画する自動運転共同開発連合の「アポロ計画」を設立し、2018年には世界初の完全自動運転バス「アポロン」の量産を開始しました。