更新日:2020年03月30日
持続可能な世界を作るためによく言われている「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」という言葉があります。貴重な資源をサステナブルに利用していこうという試みです。
■リサイクル(再循環)/Recycle
資源の再生や再生利用などを指します。これは、ごみとして廃棄するのではなく、再度そのごみを利用するということです。一緒によく語られるのが、「リデュース」と「リユース」です。
■リデュース(減量)/Reduce
廃棄物やごみの発生を抑制するということです。過度な包装を止めたり、物を無駄なく利用したりするなど、必要以上の消費や生産を行わせないようにすることがリデュースです。
■リユース(再使用)/Reuse
一度利用されたものを、そのままの形で利用するか、若しくはその中の一部を再度利用するといったものがあげられます。不用品のバザーや廃品回収などがよく行われています。
製品そのものの質が良い日本の場合、インターネット上で売買が行われるマーケットや、ブランド品などもそのようなマーケットでリユースが行われています。リユースのマーケットは、インターネットを活用して拡大が見込まれます。無料で物々交換をするサイトも登場しています。リサイクルショップ、フリーマーケット、不用品回収業者といった業者がインターネットでのマーケットに参入しています。これらの業種は、インターネットとの親和性が高いので盛り上がりが期待される業界です。リユースとリサイクルの違いは、リサイクルは素材として再利用することです。例えば、アルミであればアルミ缶を再度素材に戻して、それを別の商品として販売することが考えられます。この中で、いちばん自然へのインパクトが少ないのは、リデュースです。次にリユースです。最後は、エネルギーなどを使うので、リサイクルという形になります。そう考えると、極力ごみの発生を抑えることはとても重要です。さて、そのような中でどのようなものはリサイクルできるかも確認していきましょう。
<リサイクルできるもの>
ガラス瓶、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、プラスチック製容器包装、紙、自動車、自転車、家電製品、パソコン、携帯電話、ガラス瓶、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、プラスチック製容器包装。
※一度は見たことのある「リサイクルマーク」がついていますので、資源として活用することができます。それ以外のものも、各素材ごとに分解をして再利用します。
<家電リサイクル法の対象の製品>
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯乾燥機。
<小型家電リサイクル法の対象商品>
デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤー、ゲーム機、掃除機、電話機、パソコン。
しっかり分別することで資源の有効活用が行われます。ごみの種類と一般的な分別および分類するものについても記載します。
■「可燃ごみ」とは燃やせるごみのことです。
生ごみ、貝がら、再生できない紙、衣類、紙おむつ、プラスチック・ビニール類、少量の植木の枝・葉、廃食用油、ゴム製品、皮革製品などを言います。
■「不燃ごみ」とは、燃やせないごみのことです。
ガラス製品、陶磁器製品、小型の家電製品、金属類、電球・蛍光灯、乾電池、ライター、傘などを言います。
■「資源ごみ」とは、再生できるごみです。
紙類(新聞・チラシ・雑誌など)、紙パック、ダンボール、飲食用びん、飲食用かん、食品トレイ、ペットボトル、発泡スチロールなどを言います。
これらのうち、不燃ごみを減らして、可燃ごみも生ごみとして土に還るような素材を利用すると、格段にごみは減らせると考えます。イノベーションを起こし、コスト的にも代替できるようにしていき、リサイクルを活発にすれば、ごみ処理の問題も改善するのではないかと思います。ごみの約七割は家庭ごみです。事業ごみは約三割です。それだけ、家庭ごみを改善すると効果があります。ごみは分別などが面倒です。こちらも「AI」など判定技術を生かして、自動で分別を家庭ごみのうちからできるようにするなど、テクノロジーを進化させていけば更に大きな効果が期待できます。最後に、日本では物を作る際に、資源投入(総物質投入量は21.4億t)を行っています。しかし、このうちの一割程度しかリサイクルされていないそうです。
過去、現代のリサイクルの歴史を振り返ります。そして、未来のリサイクルはどうなっていくのかを考えてみたいと思います。
<過去・現代・未来のリサイクル>
衣食住は3R(リデュース・リユース・リサイクル)と密接につながっています。リサイクルマークのあるものをしっかり分別できれば、効果的な資源の確保につながります。生活で捨てるものとは何でしょうか?食品が多いのではないでしょうか?その他、包装関係も多いと思います。後は、洋服などでしょうか?これらも、エコな製品がたくさん出ています。分別には、「AI」などを使うことによって、自動で分別可能な未来も待っていると考えられます。
■過去
昔のリサイクルの話をします。昔と言っても江戸時代の話を中心にします。江戸時代は、例えば、今で言うところのお歳暮の販売などを請け負うところがありました。当時も世界有数の巨大都市であった江戸は、高度なリサイクルシステムが確立されていました。武家奉公をしていた女中が、ボーナスで支給された豪華な着物を転売していたそうです。また、お歳暮で届く高級食材を販売する店もあったそうです。紙くずから木くずまで、丁寧なリサイクルを江戸時代は行っていたそうです。ろうそくも再利用しており、こぼれてしまった「ろう」を取り出して再利用していました。なぜなら、当時のろうそくはとても高価なもので、夜中に明るい光を得るためには貴重な存在だったからです。その他にも、人の排泄物などもリサイクルされ、肥料として田畑に利用されていました。このような経験から、リサイクルに取り組めば、ほとんど何でも再利用できるのではないかと思います。特に自然に還るものであれば、すべてのものがリサイクル可能で、そのようなものであった江戸時代は、衣食住のリサイクルが非常に高度に発達していたのだと思います。
■現在
現在の日本は、大量のゴミを多く出している国です。日本のゴミ焼却施設の数が、世界でダントツの1位であるということをご存じでしたか?それほど我が国は、ゴミを多く出しているのです。平均すると1家庭から年間で1~2トンのゴミが出ており、1人に換算すると毎日1キログラムのゴミが出ている計算になります。リサイクル(再循環)、リデュース(減量)、リユース(再使用)に努めているとは思いますが、リサイクルに限れば、全体のゴミのうちの1割程度しかリサイクルできていません。これを江戸時代のようにもっと高めていく必要があります。
■未来
<可燃ごみ>
貝がら、再生できない紙、衣類、紙おむつ、プラスチック・ビニール類、少量の植木の枝・葉、廃食用油、ゴム製品、皮革製品などの「可燃ごみ」といわれる生ごみを、イノベーションによって徹底的に土に還る商品、もしくは再生可能な商品に変えていくことが重要だと思います。土に還るのであれば、焼却しても後で土として利用でき、自然へのインパクトがほとんどありません。さまざまなごみを有機物化できれば、地球への負荷を小さくできるのではないかと考えます。
<不燃ごみ>
ガラス製品や陶磁器を原材料、小型の家電製品、金属類、電球・蛍光灯、乾電池、ライター、傘などの「不燃ごみ」を考えてみます。不燃ごみの場合、しっかりと分別することが重要です。例えば、利用する素材にセルロースナノファイバーを使い、材料を有機物化できるようなイノベーションを起こす必要があるかもしれません。そうすれば、「可燃ごみ」として処理が可能になります。細かく分別することによって、リサイクルできるものは「資源ごみ」として再利用すべきです。金属部分などは、都市鉱山と呼ばれるように、元の原料から作るよりも効率的に金属を抽出できます。そのようにして、極力「可燃ごみ」と「資源ごみ」として再利用可能なものを、AIなどのテクノロジーを駆使して、コストを抑えながら分別の精度を高めることが求められるのではないかと考えます。
<資源ごみ>
紙類(新聞・チラシ・雑誌など)、紙パック、ダンボール、飲食用びん、飲食用かん、食品トレイ、ペットボトル、発泡スチロールなどの「資源ごみ」に対しては、これまで通りリサイクルに注力しなければなりません。例えば、AIを使って正確に分別することにより、人が行うと面倒で分別が進まなかったものも、高い精度で分別できるようにする必要があると思います。リサイクルのイノベーションとして、プラスチック製品を「油化」して元の石油に戻す技術も進んでいます。コスト面を除けば、リサイクル可能なものはかなり進んでいます。その中で最も面倒なのは、複雑な製品の分別・分解です。パーツごとに分ける作業は非常に手間がかかり、人が行うと莫大なコストが発生してしまいます。「AI」と「ロボット」を活用し、正確に分別できるようになれば、この部分でのロスは大幅に減少するでしょう。人が手間と感じる分別作業を徹底的に低コストで行うことができれば、ごみ問題の多くは解決に向かうと考えます。リサイクルロボットの開発も活発になっているので、大きなイノベーションが起こるのではないかと思います。