更新日:2020年04月02日
いちばん発達しているといえる冷凍保存のテクノロジーをご紹介できればと思います。冷凍保存は、食生活を豊かにしてきた保存法のひとつです。長距離輸送など、鮮度が大切な食品を、遠いところから、時間がかかっても美味しく食べられるようにしたのは、冷凍技術の発達のおかげと言えます。マグロなどの海産物を遠洋漁業で取ってきて、それを食することができるようになったのは、冷凍技術の発達のお影です。牛肉などの肉類も、冷凍技術のおかげで外国産の牛肉が食べれるようになりました。その他にも、フリーズドライ製法といって、冷凍と乾燥を同時に行うことによって、長期間の保存ができるような保存法が生まれました。冷凍保存であれば、元々冷凍されている肉などを大量に購入しておいて、それを順次食べていくことができます。大量に購入することができれば、スケールメリットで安価に同じ肉を買うことができます。卸売業が直接小売をしているようなお店では、ボリュームディスカウントで大量な肉を安価に販売していたりします。大き目の冷凍庫をひとつ持っていれば、コストを抑えた食事ができるはずです。一方、自分のところで作った野菜や料といったものを、冷凍することができれば、個人的に利用する冷凍食品が作れるようになります。これまでも、食品を冷凍庫で保存しているご家庭は多いと思いますが、家庭の冷凍庫では、瞬間冷凍ができないために味が落ちてしまいます。そんな中、瞬間冷凍も含めて、鮮度を落とさず冷凍ができれば、とても食事が便利になると思います。長期保存するための冷凍保存には、急速冷凍という凍結を行わなければいけません。しかし、家庭用の冷蔵庫では、急速冷凍が基本的にはできません。なぜかと言うと、家庭用の冷蔵庫は一般的に「マイナス20度」になるように設定されています。急速冷凍の定義について説明すると、食品の品温が30分以内に「マイナス5度からマイナス1度」の温度帯(最大氷結生成帯) になるということです。この状態にしようとすると、業務用のコンタクト冷凍機であれば、金属板の中に「マイナス40度からマイナス30度」の不凍液を流し、それで食品を押すことで急速冷凍を行います。そうすることで30分以内に「マイナス5度からマイナス1度」の温度帯にしています。これが「マイナス20度」の一般的な冷蔵庫で行おうとするとできません。もうひとつ重要なことがあります。理想としては、急速冷凍した商品も「マイナス60度」の超低温ストッカー(超低温フリーザー)に入れることです。冷凍食品の賞味期限は、未開封のものでも2-3ヶ月程度の賞味期限となっていると思います。これは一般的な冷凍ストッカーが、「マイナス20度」の温度であるためです。この温度だとタンパク質の酵素分解や微生物の繁殖、脂肪の酸化などが行ってしまい、どうしても食品が劣化してきてしまいます。これが「マイナス60度」の超低温ストッカー(超低温フリーザー)であれば、このような食品の劣化がおこりません。超低温でない、冷凍ストッカーで保存すると、「冷凍焼け」と呼ばれる状態が起こります。冷凍焼けとは、乾燥や酸化によって、食感や見た目が悪くなり風味が落ちてしまうことです。 冷凍焼けしても食べることはできますが、美味しさは失われてしまいます。そのために、超低温で保存する必要があります。「急速冷凍」と「マイナス60度」での保存が食品の長期冷凍保存には大切になってきます。冷凍を活用する保存方法に、「フリーズドライ製法」というものがあります。フリーズドライは、日本語では真空凍結乾燥技術と呼ばれています。フリーズドライの原理を説明すると、圧力がかかると沸点が低くなります。水も圧力をかけると、液体を経由せずに一気に気体になります。この原理を生かして、冷凍した食品を真空ポンプで真空状態にして、そこから加熱することで、水分が一気に昇華して風味も変わらずに乾燥させることができます。フリーズドライの素晴らしいところは、長期25年の保存といったことができる点です。例えば、農業では大量に野菜が取れてしまって需給のバランスが崩れてしまうことがあります。需給のバランスが合わないため、豊作の時に安く買えるが、不作の時には高くなってしまうということがあります。市場の価格を下げないために、豊作の際に廃棄するといった食品ロスも起こります。そのような野菜の価格が時に安い時に、フリーズドライ、若しくは冷凍にしておければ、食費のコストダウンになると思います。機会損失を起こした食品は、同じようなものが安く買うことが出来ます。冷凍とフリーズドライ両方使うことで、低価格で美味しい食品を食べられると考えます。
長期保存の主役である冷凍保存に関して、様々な機器メーカーの商品をご紹介できればと思います。業務用のものが多く高価ですが、うまく使うことによって長期保存が可能になります。フリーズドライヤーや、乾燥野菜など冷凍と乾燥に携わるテクノロジーもご紹介していきます
■Treasure Box
家庭で急速冷凍することを目的に作られた商品です。一般的な「マイナス20度」の冷凍庫で利用することができます。特殊な不凍液を使って、その中に食品を挟み込むことで、急速冷凍を可能にしました。一般的な冷凍庫だけでできるので、効果的な商品だと思います。「凍眠miniコンタクト」であれば、冷凍庫の中に置いておくだけで、リキッドフリーザーのような効果を得ることができます。
参考URL:http://www.treasure-box.jp/
■RRS-102CNF(102リットル/ノンフロン/急速冷凍機能付)
冷蔵冷凍庫メーカーであるレマコム社製のノンフロンの冷凍庫です。急速冷凍機能がついているので、扉の開閉が多い場合や急速冷凍を必要としている場合に利用できます。
参考URL:http://www.remacom.com/shopdetail/052000000001/052/O/page1/recommend/
■RRS-102MR(102リットル/マイナス60度/超低温タイプ)
102リットルの容量があるマイナス60度の冷凍が可能な、超低温冷凍庫です。販売価格も102リットルで145200円とリーズナブルな価格設定になっています。長期保存に利用する際に活用ができます。
参考URL:http://www.remacom.com/shopdetail/000000000877/002/O/page1/recommend/
■FB-77eco(フィッシュボックス)
遠洋漁業でマグロを保存するために、考案された「マイナス60度」超低温冷凍。その超低温冷凍庫メーカーであるダイレイが作った冷凍庫です。釣り好き方が、釣った魚を冷凍保存して美味しく食べるというコンセプトでできています。半年後でも、釣った魚を美味しく食べることができます。容量は約70リットルで148000円(税別)です。
参考URL:http://fish-box.net/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/1.html
■JCMCC-60
業務用冷凍庫メーカーのJCMの製品です。「マイナス60度」から「マイナス40度」まで温度が調整できます。キャスターが付いているので、移動も楽です。「高温/低温」の警報付なので製品に異常が発生した際には、直ぐに分かるようになっています。デジタル温度計があるので、庫内の温度が一目でわかります。60リットルで、108000円(税込)という価格設定になっています。
参考URL:http://www.jcm3.co.jp/products/detail/82
■Harvest Right
アメリカ国内で販売をしている家庭向けフリーズドライヤーを作っているメーカーです。値段は、1995ドルから2995ドルまでの3タイプになります。アメリカでは、災害などの非常時に対応するために、フリーズドライ機器で自家製の保存食を作るという発想があるようです。「Harvest Right」では、フリーズドライヤー以外にも、植物を栽培するための道具であったり、真空パックを作るための付属品などもサイトで販売しています。
参考URL:https://harvestright.com/
■アスザックフーズ
フリーズドライ、乾燥食品を製造、開発、販売しているメーカーです。家庭でフリーズドライの野菜を作るのは難しいですが、アスザックフーズでは、フリーズドライの野菜そのものを販売しています。野菜以外にも、フルーツや味噌汁の具に使える商品を販売しています。製造、開発、販売を行っているメーカーだからできる強みだと思います。
参考URL:http://shop.asuzacfoods.co.jp/
■家庭用食品乾燥機「プチマレンギ」
フリーズドライを家庭で作るのは難しいですが、乾燥食品、ドライフルーツを作るなら比較的簡単にできます。そのための高性能な機械が、プチマレンギです。様々な野菜や果物をドライフルーツにすることが可能です。フリーズドライではできない旨味の凝縮などを行うことができます。
参考URL:http://www.marengi.jp/
■株式会社さつま屋
海産物の乾物から、乾燥野菜まで販売している会社です。乾燥野菜だけでも、「ねぎ・キャベツ・ほうれん草・にんじん・ごぼう・かぼちゃ・大根・たまねぎ・高菜・白菜・れんこん・たけのこ・きくらげ・しょうが・しいたけ・えのき・ゴーヤ・おから」と豊富な種類の商品を取り揃えています。
参考URL:http://www.3208.jp/