更新日:2020年03月27日
最近、「オフグリッド」とういう言葉を聞くようになってきました。オフグリッドというのは、丁度「東日本大震災」が発生して、ソーラー発電が重要だという認識が出てきたあたりから、耳にするようになってきたと思います。オフグリッドというのは、「グリッド」すなわち電力会社の送電網をオフにするという意味で、電力会社の送電網を使うことなく、発電した電気を売電せず、自給、自立した生活を成り立たせることを指します。様々な発電方式がありますが、個人で利用するオフグリッドで広まっているのは、太陽電池を設置してそこで電気を生産し、それを蓄電池に貯めて利用するというのが、実際にいちばん多く採用されている方法です。例えば、オール電化住宅のように、エコキュートなどを利用してお湯を作る部分も全て、電力で賄う形がこれから増えていくのではないかと思います。これ以外に、薪ストーブなど木材を利用して暖房を賄うこともあります。太陽電池の効率化といったように、エネルギーを生産する側の性能を上げるイノベーションが活発ですが、同時に同じ生活の質を担保しながら、利用するエネルギーの量を下げるイノベーションも重要です。仮に同じ量の太陽光発電しかできなかったとしても、電力のかからない家電を利用するなどして、利用するエネルギー自体を下げて同じ生活ができれば、似た効果が得られます。電球もLEDといった具合に、細かいところをしっかり抑えていけば、オフグリッドであっても現在のテクノロジーで快適な生活ができると考えます。
名古屋大学の高野教授の実証実験によると、地方で次のようなオフグリッドが行えているそうです。
<エネルギー生産側>
太陽電池:計870ワット
鉛蓄電池:容量約10キロワット時
<エネルギー消費側>
精米機(300ワット)、洗濯機、ノートパソコン(30ワット)、タブレット端末、携帯電話への充電(8ワット)、モバイルルーター、プリンター(65ワット)、薪ストーブのファン(14ワット)、3~30ワットのLED照明が16個。
1日当たりの消費電力量は、510ワット時(1時間平均約20ワット程度)で稼働しているそうです。エアコンやドライヤー、炊飯器、電気ポットといった熱を発生する機械は電力消費が大きいので、そのあたりをうまく対応しないといけません。特に温かいものを冷やすよりも、冷たいものを温めるところにより多くの電力がかかります。この部分は太陽熱温水器を導入すると、太陽電池で発生させたエネルギーの熱変換の負担を減らすことができます。例えば、その温水を室内の床暖房に使うなどすると寒さ対策ができます。生活を工夫すれば、このような電力で生活を賄えます。ただ、実際に都会でオフグリッド生活を実現しようとすると、200万~400万円程度の費用がかかってしまいます。地方であれば、自然の中から薪などを拾うことができるので、太陽電池以外にエネルギーを生産できる手段があります。オフグリッドの生活を都市でしようとすると、基本的には太陽電池に頼らざるを得ないので、太陽光で電気を取得するか、太陽の熱によって温水を作るといったものが、一般的になると考えます。オフグリッドの生活では、太陽電池の設置費用を抑えて、住宅全体の消費電力を抑えられるかにかかってくるので、いかにプラスとマイナスのバランスをとるかが重要です。住宅用の太陽電池のシステム費用は、30万円/kWと考えておくのが良いでしょう。そうすると仮に住宅用の4kW~5kWの太陽電池を設置する場合、120万円から150万円程度の設置費用がかかります。電気事業連合会の調査による一般的な家庭で、どれくらいの電力ニーズがあるかということも記載しておきます。電気事業連合会の調べによると、一世帯あたりの1か月の電気消費量は、283.6kWh。年間おおよそ3400kWh以上の発電量を確保する必要があるということです。参考値ですが、平均的なパネルの発電量は、1kWあたり年間1000kWh程度と考えられます。同時に安定的な電力を確保するためには、蓄電池が必要です。蓄電池はとても高価なものですが、EV車で有名なテスラ社の「パワーウォール2」という、コスト的に画期的な蓄電池が発売されます。2LDKの住宅で「パワーウォール2」が1基あれば賄えるというものです。また、価格は設置費用を除いて、99万円と従来の3分の1程度と圧倒的な低コストです。最新のイノベーションを活用することによって、都市でもオフグリッドが安価にできるようになる可能性を秘めています。
実際に、生きるコストを下げたオフグリッドな生活とはどういう生活になるのでしょうか?モバイルハウスを活用して、月の生活費3万円程度で生活している方の生活を見てみました。生活の基盤を支える上で、切っても切れないのは住環境になります。モバイルな生活をしている方は、モバイルハウス(小屋)を活用している方が多いです。小屋といっても、イメージよりもっと住宅として利用できるもので、タイニーハウスといわれるローコストな住宅を購入したり、自分で中古住宅を改築したりして住環境としている方が多いようです。トレーラーハウスのように移動可能な住宅にしている方も多いようです。電気代をかけないために、ソーラーパネルを設置するなどして、オフグリッド住宅にする必要はあります。その上で、月の生活費を3万円程度でまかなうためには、食糧も自分で賄わなければなりません。比較的、自給自足に近い農業を行ってその農作物でまかなったり、周辺の農家さんから安く分けてもらったりされているようです。モバイルなローコスト住宅に、ガスは利用せずにインフラは「電気」「水道」「インターネット」で、オール電化という形を取るのは、生活費を下げる上で現実的な選択肢だと思います。そうすることで、時間的に余裕のある生活ができれば、ある意味こころは豊かなスローライフを送れるのではないかと思います。極限まで生活のコストを下げるためのひとつの住環境の形が、モバイルハウス(小屋)と言えるのではないかと思います。
それ以外にも、文化的な生活を送るためには、必要なものがあります。現在、シェアリングエコノミーという概念が広がってきています。社会インフラがしっかりしている世界では、シェアすることで外部の設備を有効に、安価に利用できます。それは、情報をリアルタイムに発信できるインターネットの良い側面が発揮されているからです。食品も、少し形が悪いという理由や、多少の規格外であるだけでただ同然になってしまうものもあります。食糧であっても、シェアリングエコノミーという考え方を活用できます。トレーラーハウスのように、移動可能な住居であれば、都市近郊でローコストな住居に適した場所があると思います。都市の中心に住もうとすると住環境の費用がかかりますが、東京であっても郊外であればあまりコストはかからない場所がたくさんあります。しかし、都市の郊外であれば基本的に、物流の発達した日本では、特に郵送で購入できるものであれば、中心部と同じサービスが受けられます。そのような環境を利用して、シェアリングエコノミーを最大限に活用します。トレーラーハウスを活用した半定住の形が、これからはフレキシブルでいちばん融通が効く、時代にあった生活になっていくのかもしれません。移動し続けるメリットもありますが、定住することで地域のコミュニティとの交流ができ、そこで仕事を作ることができるかもしれません。定住し続けるデメリットもこれまで通りあります。住宅費、水道光熱費がほぼかからないのであれば、月に3万円程度の生活費を地域から稼ぐことは可能だと思います。インターネット環境さえあれば、例えば、近くの農家で余って売れ残った作物を通販代行するといったこともできると思います。過疎地で高齢者が多く、インターネットを使えない方が多い地域であれば、インターネット通販で買い物代行を行ってもよいと思います。小さなビジネスで3万円程度を稼ぐというのは、知恵を絞ればできると思います。勿論、開発であれば営業であれ、インターネット上で行ってしまう時代です。インターネット環境さえあれば、クラウドソーシングなどをして、月の生活費3万円であれば生計を立てることは可能だと思います。生活必需品も、「家具」「家電」「寝具」「キッチン用品」「バス・トイレ用品」「玄関・その他」のものがあれば、最低限問題ないと思います。これらをジェネリック家電などを使いながら、無駄のないシンプルな性能の生活必需品を活用することで、通常の生活と変わらない、同水準の生活ができると考えます。巷ではミニマリズムな生活などと言われていますが、重複した同じようなものを買わないことや、余計なものを置かないことで、ひとつの「モノ」の性能を効率的に最大限活用していくことで、生活費3万円でモバイルな生活をすることはできると思います。
条件によって異なりますが、生活保護は1人あたり10万円弱の支給が多いようですが、その約3分の1程度で生活ができるということになります。そのくらいの金額であれば、何かしらのストックビジネスで仮に働かなくても、収入を得ることができるのではないでしょうか?今の資本主義の社会であっても、そうして「生きるコスト」のかからない生活は、可能になるのではないかと考えます。これから考えていかなければいけない部分は、ひとり暮らしではなく家族ができて、子どもに費用がかかってくるといった場合です。現在実践されている3万円の生活は、個人や2人での生活が多いようです。また、若い方が行っていることが多く、そのコストの低さと若さから生活ができている可能性があります。家族や年齢が進んでも、快適に生活できる環境を作れるかどうかが鍵になると思います。